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龍生の写メ日記

  • 灼熱とクラウドと、ブルームーン
    龍生
    灼熱とクラウドと、ブルームーン

    灼熱の午後だった。<br />

    空の奥から、雲のすきまを縫って<br />

    ひとすじの光が落ちてきた。



    今日は仕事があるはずだった。<br />

    でも、突然ぽっかり空いた時間。



    ぽかんとした心の中に、<br />

    ふいに懐かしい香りが滑り込んできた。



    まるでテキサスのような暑さの道を走る。<br />

    アスファルトが揺れて、<br />

    空にはクラウド&mdash;&mdash;<br />

    ぷかぷかと、自由に浮かんでいた。



    思い出したのは、あの人。<br />

    どこか気まぐれで、<br />

    でも芯に熱を持っていた人。



    扉をぐぐったその先に、<br />

    ちゃんと、彼女はいた。



    言葉よりも先に、心と心が触れ合った。<br />

    そしてふと漏らした言葉&mdash;&mdash;



    「消えたら、どうする?」



    僕は答えた。<br />

    「必ず見つけるからね。」



    それは願いというより、<br />

    確信に近かった。



    だって僕も、<br />

    誰かに見つけられて、ここにいるのだから。



    自由という名のクラウドに乗っていれば、<br />

    きっと、また会える。<br />

    そう思えた午後だった。



    帰り道、電車の窓の外に<br />

    ぽっかり浮かんでいたブルームーン。



    たぶん&mdash;&mdash;<br />

    気まぐれに漂う彼女は、<br />

    あの月の向こうに、<br />

    静かにいた気がした。