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龍生の写メ日記

  • 光と雫と、ユメノツヅキ
    龍生
    光と雫と、ユメノツヅキ

    最初は、張りつめた空気がそっと部屋を包んでいた。<br />

    深呼吸の音だけが、ふたりの距離を測っていた。<br />

    <br />

    触れるたびに、<br />

    かすかに揺れるまつげと、微細な呼吸の変化。<br />

    肌と肌のあいだに、<br />

    少しずつ&ldquo;安心&rdquo;が根を張っていくのがわかった。<br />

    <br />

    目が合うたび、<br />

    その奥に隠してきた&ldquo;やわらかさ&rdquo;が、<br />

    すこしずつ顔を出しはじめた。<br />

    <br />

    そして、静かな時間のなかで<br />

    唇が重なった瞬間&mdash;&mdash;<br />

    迷いのないキスが、彼女の想いをまっすぐに伝えてくれた。<br />

    <br />

    言葉は多くなかったけれど、<br />

    その沈黙のなかに、<br />

    強さと、寂しさと、<br />

    そして&ldquo;受け入れられた&rdquo;安心が、<br />

    やさしくにじんでいた。<br />

    <br />

    最後に交わした笑顔が、すべてを物語っていた。<br />

    触れ合ったことよりも、<br />

    そのあとに流れた静かなぬくもりにこそ、<br />

    彼女の&ldquo;素&rdquo;が宿っていた。<br />

    <br />

    雨の音にまぎれて届いた光のような言葉が、<br />

    今も、胸の奥で静かにひかっている。<br />

    <br />

    迷いながらも、前を向こうとするその背中に、<br />

    透明な誇りが、ふわりと漂っていた。<br />

    <br />

    触れられないものに、<br />

    人はもっとも心を動かされるのかもしれない。<br />

    <br />

    ぬくもりは、<br />

    音のない場所で、<br />

    そっと、生まれていた。<br />

    <br />

    &mdash;&mdash; まだ、夢のつづきを見ているような気がしている。