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龍生の写メ日記

  • 心と自由と、たまにジレンマ
    龍生
    心と自由と、たまにジレンマ

    彼女の瞳の奥に、<br />

    ふと、影のような揺らぎが見えた。<br />

    <br />

    恥ずかしがり屋で、明るく振る舞う人。<br />

    でもその笑顔は、どこか守りのようでもあった。<br />

    <br />

    触れられたくて、触れてほしくなくて。<br />

    求めていて、でも信じきれなくて。<br />

    <br />

    そんなジレンマの中で、<br />

    彼女はそっと、僕の腕の中に身をあずけた。<br />

    <br />

    &mdash;&mdash;本物の愛がほしい。<br />

    でも、本当の愛はここにはないことも、<br />

    きっと、彼女自身が一番わかっている。<br />

    <br />

    それでも、<br />

    肌を重ねるという一時の&ldquo;ふり&rdquo;の中に、<br />

    ほんのわずかな本音を、混ぜに来たのだと思う。<br />

    <br />

    歌声を連れて、いくつもの街を渡る人。<br />

    強く、美しく、自立しているように見えて、<br />

    ただ一瞬、誰かの腕の中で、ほどけたかった人。<br />

    <br />

    最後のキスは、照れながらも<br />

    「いってきます」のようで、「またね」のようで&mdash;&mdash;<br />

    ほんの少し、別れを惜しむ温度があった。<br />

    <br />

    愛を欲しがることと、<br />

    愛を信じられないこと。<br />

    <br />

    その狭間で揺れるジレンマを、<br />

    僕は、責める気にはなれなかった。<br />

    <br />

    だって、僕自身もまた、<br />

    愛に似たものを、手渡していたのだから。