手をつなぎ、帰ろうか。<br />
今日は何を食べようか。<br />
そんな何気ない言葉が、<br />
どうしてあんなにも遠かったんだろう。
「君と話したかったんだ」<br />
本当はずっと、そう思っていたのに。
劣っているって言われてきた。<br />
普通じゃないって笑われて、<br />
僕は、必死に“普通”のふりをしてた。
だけど気づいたんだ。<br />
気づいたふりをしただけで、<br />
ほんとうは何もわかっていなかったことに。
誰が決めた?<br />
何が正しいって?<br />
何が欠けてるって?<br />
…僕の光は、ただここにあったんだ。<br />
ずっと、ここに。
それでも、僕はその光から目を背けて、<br />
誰かの正解に従おうとしていた。<br />
自分を責めて、置いてきぼりにして。
でも今は、もう逃げない。<br />
あのときの自分に手を伸ばすように、<br />
僕は今、誰かの心に触れる手になりたい。
悲しみも、迷いも、ためらいも。<br />
丸ごと、抱きしめていけるように。<br />
そして、もう二度と<br />
大切なものをすり抜けさせないように。
君が光なら、<br />
僕はそれを包む夜になりたい。<br />
静かで、あたたかくて、<br />
ふとした瞬間にそっと思い出すような<br />
柔らかな記憶になりたい。
龍生の写メ日記
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手をつなげなかった日のこと龍生