昔、音楽イベントで出会った女の子がいた。<br />
照明の陰影に浮かぶ横顔が、やけに艶っぽかったのを覚えてる。
音楽に身体を揺らしながら、ふいに彼女が言った。
「私ね、女優になりたいの」
その一言には、不思議な熱と色気があった。<br />
酔ったノリでもなく、照れ隠しでもない。<br />
まるで、自分の奥にある欲望をそっと差し出すような。。
時が経って、ふとFacebookに届いた通知。<br />
彼女は本当に女優になっていた。舞台に立っていた。
観に行ったその舞台で、俺は言葉を失った。<br />
あの頃のあどけなさは影もなく、彼女は“プロ”として、ステージに生きていた。<br />
目線、声、間の取り方…全てが緻密で、情熱的で、そしてなにより、美しかった。
夢って、あんな風に人を変えるんだ。<br />
あのときの夢を育てた彼女を、<br />
ただただ見惚れていた。
誰かにどう思われるかよりも、<br />
自分の「これがやりたい」を選び続ける。<br />
簡単じゃない。でも、そこにしか本当の快感はない。
僕が今この仕事をやっているのも、<br />
「人の心と身体に触れること」に、抗えないほど惹かれたからだ。
常識とか、人の目とか、年齢とか――<br />
そんなものは、最後に自分を幸せにしてくれない。
欲しいものをちゃんと欲しがって、<br />
感じたいものをちゃんと感じて、<br />
心が濡れる方へ、正直に歩く人が、<br />
きっと一番美しい。
自分の奥にある本音を、ちゃんと感じて生きる人生の方が、<br />
ずっと気持ちいいよ。
龍生の写メ日記
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欲しいって、ちゃんと言えた彼女龍生