物語は、かつて一世を風靡したスター女優エリザベス(デミ・ムーア)が50歳を機にフィットネス番組を降板させられるところから始まる。<br />
謎の薬「サブスタンス」によって、「若く完璧な自分」であるクローン人間スー(マーガレット・クアリー)を生み出す。<br />
落ち目のエリザベスとは裏腹に、もう一人の自分であるスーは若さと美貌を武器に一躍スターダムにのしあがるが…。
予告編を観た時の印象としては、オシャレな映像と心理的な緊張感が強調され、承認欲求や整形依存への皮肉を描くサスペンス映画かと思った。<br />
だが実際にはこれはがっつりホラー映画であり、少しネタバレになるが、ホラーの中でも特に人を選ぶであろうボディホラーにカテゴライズされる作品である。<br />
話的にも映像的にもけっこうグロい。<br />
あの予告編は不親切、あるいはかなり悪質だと思う。
映像的なグロさに目がいきがちだが、話的にもかなりえげつなくて、どれほど着飾っても綺麗にメイクをしても、若いスーには勝てないと絶望するエリザベスは見ていて心が痛くなった。<br />
老いたエリザベスはより惨めに、若きスーはより華やかに、過剰なほどに強調された演出に胸が締め付けられる。
この作品は女性が直面する美しさと若さへの社会的圧力を痛烈に批判しているようだ。<br />
ルッキズム(外見至上主義)やエイジズム(年齢差別)だけでなく、男性主導のメディアや性的なまなざしが女性の価値を外見で判断する現実を、誇張された映像で風刺している。<br />
監督のコラリー・ファルジャは女性の方なので、若さと美しさへの執着、あるいはその根底にある「そうあるべきだという世間からの抑圧」に苦々しい思いがあるのだろう。<br />
完璧な自分になるために、人は何を犠牲にできるのか。<br />
非現実的なゴア描写の根底にあるのは、極めて普遍的な「自己肯定感の低さ」なのかもしれない。
エリザベスよろしく、年齢に対してコンプレックスを抱えている人は多いでしょう。<br />
若ければ若いほど良い、僕も以前はそのように考えていました。<br />
ただこの仕事を経験したことで、「年齢」に対しての捉え方が変わったように思います。<br />
自分に対しても、相手に対しても。
僕は体重の増減によって見た目のイメージがコロコロ変わります。<br />
ダイエットする過程で若く見られる事もあったし、高橋一生っぽいってやたら連続して言われる時期もあったし、痩せすぎて老けて見られる時もありました。<br />
それらの経験を経て、今では「年相応で良い」と思うようになりました。
「若く見える事」が良い事なのであれば、実際に若いキャストを選べば良いのです。<br />
その選択肢が用意されてる女風において「若く見える事」をアピールするのに、どれほどの価値があるでしょうか。<br />
「年相応で良い」と考えられるようになったのは、この仕事を通して若い子たちと同じ陳列棚に並べられた事で気付けたように思います。
「若く見える事」をアピールするということは、「若く見える事が良い事である」という世界感で生きているということです。<br />
その価値観の対象は自身のみならず、他者にも適用される気がします。<br />
つまり相手に対しても「若く見える事が良い事」という認識であり、若く見えない事・若くない事を望ましく思っていないのかもしれません。<br />
僕は自身の外見について「年相応で良い」と受け入れた事で、他者に対しても「その年齢ならでは魅力」を見出せるようになりました。
この仕事に限らず、はじめましての人との会話で「何歳に見える?」という定番のやりとりがありますが、僕の目には何歳にも見えてないです。<br />
なので何歳であったとしても「へ~、そうなんですね」としか思いません。<br />
「もっと若いと思った!」とか言うべきなのでしょうが、あまり興味が無いのでリアクション間違えてるかもしれません。<br />
そもそも僕の方から年齢なんて聞かないし、どうでもいいのです。
女風利用に際して年齢や容姿を気にされる方は多いようですので、「サブスタンス」のテーマ性はかなり刺さると思いますが…。<br />
とても「面白い作品」でした。<br />
「凄い作品」だと思います。<br />
個人的に「好きな作品」でもあります。<br />
でもオススメはできないなぁ笑
グロ耐性のある人は!<br />
自己責任で!<br />
ぜひ観てください!!
あきらの写メ日記
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『サブスタンス』あきら