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あきらの写メ日記

あきら

あきら  (33)

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    あきら
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    僕がなぜ自分のことをセラピストと言いたくないのか。


    理由はいくつもあるが、思いつくままにつらつらと書き出してみよう。


    ま~た面倒臭い事を長々と垂れ流して書くがそれほど強いこだわりを持っているわけではなく、「なんとなく嫌なのよね」という程度の話なので適当に読み飛ばして欲しい。



    一つ目の理由としてはパンダ化現象への危惧。


    かつてパンダと言えばレッサーパンダのことだったのだ。


    それが例のアイツが出てきた事により、パンダ=白黒のアイツというイメージが定着してしまった。


    押し出されるようにして、元々パンダだった奴らは「小さいほうの」という意味のレッサーを頭に付けてレッサーパンダになってしまった。



    これと同じ事がセラピストという言葉でも起きる可能性がある。


    キャスト側もユーザー側も、毎回律儀に「女風セラピスト」と言っていればその心配もないが、実際には「セラピスト」と言う場合が多い。


    これから女風が普及していき、セラピスト=女風というイメージが根付いてしまったら、元々の昼職のセラピストはどうなるだろうか。


    女風セラピストがセラピストと呼ばれ、従来のセラピストが他の名称で呼ばれるようになるかもしれない。



    僕は夜職に対して特に偏見は無い。


    それは自分がこの仕事を始める前からである。


    だがそれはそれとして、夜職と昼職は区別するべきだと思っている。


    セラピストという言葉の響きはその境界線を曖昧にしているのではないだろうか。


    昼職のセラピストの方々が「セラピスト」を名乗る事で勘違いされたりからかわれたりして、恥ずかしい思いをするような事があっては不憫だ。



    僕は言葉の持つニュアンスをとても大切にしている。


    二つ目の理由としては自分のしている事とセラピストという言葉が結びつかない点だ。


    まずはセラピストという言葉の意味を調べてみた。



    セラピスト(Therapist)とは、専門的な知識や技術にもとづき、心や身体の症状を癒す職業のことです。 薬や外科的治療を用いない治療や療法を意味する「Therapy」に“〜する人”を意味する接尾辞「ist」がついた英単語で、日本語では「治療士」「療法士」と訳されます。



    「専門的な知識や技術にもとづき」という部分に対して、はたして自分のしていることが該当しているのか?


    そこに納得していないのだ。


    セラピストにも様々な種類がある。


    医療系、美容系、メンタル系、リラクゼーション系…。


    中には資格を必要とする職種も少なくない。


    だが女風セラピストはどうだろうか。


    必要な資格は何も無いどころか、お店に所属せず個人でやっている人もおり、名乗れば誰でもなれるのが女風セラピストなのである。


    さて、これで「専門的な知識や技術にもとづいて」と言えるのだろうか?



    また「薬や外科的治療を用いない治療や療法をする人」とのことだが、その感覚は全くない。


    僕がまだこの仕事を始めて間もない3流だからそう思うだけで、この仕事をより深く理解すれば「治療や療法をしている」という実感が湧いてくるかもしれない。


    だが現時点ではそれほど大層な事をしているという手応えはないのが正直なところだ。


    同じ理由で「施術」という言葉もあまり使わないようにしている。



    あくまでもこれは「治療や療法をしている」という自覚がない僕自身の認識の話である。


    もし僕と接する事によって、「治療や療法」に匹敵する効果や癒しを感じてくれているのであれば、その人が僕の事をセラピストと呼ぶ分にはありがたく受け入れる。



    この仕事で売れるのは難しいが、始めるだけなら難しくない。


    特殊な仕事だが、特別な存在になったわけでもない。


    名乗れば誰でもなれてしまうのだから、セラピストであること自体に価値はない。


    僕はそこをわきまえた人でありたい。


    そこを勘違いした人が自分は選ばれる側だということを忘れ、選ぶ側だと己惚れてしまうのだろう。


    それはとても愚かで、あまりに滑稽だ。



    3つ目の理由はこの仕事への敷居を低くしていると感じる点。


    女性が「私は風俗嬢です」と告白するのは相当勇気のいることだ。


    夜職に対して世間の目は冷たい。


    そのため女性が風俗の仕事を始めるには相当な覚悟が必要になってくる。


    あるいは相応の事情があってやむを得ず業界に入る人が多い。



    一方で男が「私はセラピストです」と名乗るのは比較的容易だ。


    もちろんこれは「女性は慎ましくあれ」という世の中の前時代的な風潮によるものでもある。


    だがやはり「セラピスト」という言葉の軽さが、理由の一つなのではないだろうか。



    別にこの仕事を始めるのに負い目を感じる必要はないと思うが、「一線を越えた」という感覚は必要だ。


    セラピストという言葉がこの仕事への敷居を低くしているように感じる。


    Twitterも開設せず、日記も更新せず、プロフも短く、最初に2週間分のスケジュールを出してその間に一件も指名をもらえなかったからといって、そのままフェードアウトしていく人は非常に多い。


    登録さえすれば自動的に指名が入るとでも思っていたのだろうか。


    まるでコンビニバイトでも始めるかのような軽いノリだ。


    あるいはマッチングアプリと勘違いしてるのか?


    そういう人がいるのも「セラピスト」という言葉にネガティブな「重み」がないからだと思う。



    風俗で働いていたというデジタルタトゥーが残っても気にしないのであれば好きにすればいい。


    誰かにバレて恥をかいたとしても知ったことではない。


    ただ、そういう人を指名してしまって嫌な気持ちになる女性がいたとしたら、それはとても悲しい事だ。



    僕はセラピストに代わるしっくりくる名称が何かないか、考えている。


    やはり風俗嬢と対になるような少なからずネガティブな印象の呼び方が望ましいだろう。


    そのままストレートに風俗坊か?


    でも歳がいくつであっても風俗「嬢」ではあるが、風俗「坊」となると何故か「坊」って歳じゃないだろ!ってツッコミたくなる。



    ごちゃごちゃと書いてきたが、結局のところ僕はひねくれ者だから…というのが一番の理由だろう。


    女風界隈は何故か「どうもセラピストでございます!」ってノリが強い気がする。


    男風の写メ日記ってあまり見たことないんだけど「どうも風俗嬢でございます!」って感じ、あまりしなくない?


    このニュアンス…伝わってる?笑



    皆がやってるとやりたくなくなる。


    業界特有のノリには反発したくなる。


    僕はひねくれ者なのだよ。


    だから自分のことセラピストって言うの嫌~!


    …っていうお話でした。



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