タイトル:捨てないパン屋
著者:田村陽至(ブーランジェリー・ドリアン店主)
昨日はお米でしたが今日はパンの話。
著者の田村さんは広島の人気パン屋「ドリアン」の店主です。
田村さんのお父さんが始めた初代のお店は、パンドミやバゲットなどの食事パン以外に惣菜パンや菓子パンなどもいろいろ作るいわゆる昔ながらのパン屋さんでした。
多品種小ロットの品揃えは選ぶ楽しみがあるかもしれませんが、毎日朝から晩まで働いて売れ残ったパンを捨てる経営スタイルに違和感と嫌悪感を覚えたそうです。
そこで田村さんは、父から受け継いだお店を大々的に改革します。
まず、たくさんあったメニューを思い切って排除しカンパーニュ・ブロン・ブリオッシュの3種だけに絞りました。
また、ふわふわの柔らかい日本的なパンから、皮が厚くて硬い伝統的なパンに仕様変更しました。
これらの大転換により日々の労働時間が大幅に減少し、そのシンプルな営業スタイルが人気となりパンは毎回完売、売り上げも伸びたそうです。
また、しっかり焼き込んでいるため全国配送も可能となり販路を拡大することもできました。
さらに、毎年8月にまるまる1ヶ月の休暇をとり奥さんと海外旅行を楽しめるようになったそうです。
何度かドリアンからカンパーニュとブリオッシュを取り寄せたことがあります(毎回2週間くらい待ちます)。
石窯による高温で焼いたカンパーニュは皮が厚くガリっと気持ちの良い食感と香ばしさがあります。
内側は高い水分量が保たれていて酸味があり食べ飽きない味わいです。
ブリオッシュも皮が厚く内側はしっとりとしていて、バターの素晴らしい香りがします。
私は最近増えている高級食パンは苦手ですが、酵母で発酵させてしっかりと焼き込んであるカンパーニュは大好きです。
バターや蜂蜜と合わせて食べると一瞬で幸せな気持ちで満たされます。
コーヒーとの相性も最高です。
この本では経営スタイルの転換のほかに、
・働き詰めで疲弊する社会への疑問と新しい価値観の提案
・日本よりも経済発展してない国々を旅して人々との触れ合いから学んだ幸せに関する考え
などについても言及されており、優しい文章で読みやすい一冊となっています。
禅の写メ日記
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禅BOOKS #4 捨てないパン屋禅