夜が深まるたびに、彼女の胸の内は静かな苛立ちに包まれていった。仕事を日々こなす毎日、上司と部下の間のストレスと闘っていた。
穏やかな表情を保ちながらも、彼女自身の心は乾いたままだった。心のどこかで気づいていた。誰かの為に…と続けることで、いつか自分も満たされると信じていたその思いは幻想だと。
「私には何も残らない」。そんな切実な声が彼女の中で囁いていた。日常は整っているようで、心は空虚なまま。刺激が足りない。胸が高鳴る瞬間も、身体を駆け巡る熱も、いつしか遠ざかっていた。
その夜、彼女は衝動に突き動かされていた。無意識に足が向かったのは、いつもの理性的な自分では選ばない場所。そこは、瞬間の熱と笑いが交錯し、愛の定義が薄れていく空間だった。遊びの愛、ルダス――束の間の気まぐれを抱きしめることで、彼女は日々の虚無を埋めようとしていた。
「会いたかったよ」
と微笑むセラピストの声が、彼女の耳に心地よく響く。顔を上げると、相手の視線がすでに絡みついていた。物足りなさを抱えた心は、その瞬間だけでも満たされることを願っていた。求めたのは、深い繋がりではなく、ただ単純な刺激。身体が熱を帯び、瞬間的な興奮が彼女を覆う。
それは危ういバランスの上に成り立っているものだと知りながらも、彼女はそれに身を委ねた。欲求不満が染み付いた心が、ようやく解放される一瞬。愛の重みを求めることなく、軽やかな触れ合いに心をゆだねたその夜、彼女は静かに息をつき、「まだ私の中にも、こんな衝動が残っている」と実感した。
明の写メ日記
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遊びの愛と知っていながら明