夜が終わり、二人の間に訪れる静寂。ほんのひとときの穏やかさに、私は心が満たされる…はずだった。視線を隣に向けると、彼はもうスマホの画面に夢中だった。行為が終わった直後から、まるで別の世界へと飛び込んでいくかのように。その無言の隙間が、私の心に冷たい風を通す。
「ねぇ、少し話さない?」と声をかけたけれど、返ってくるのは短い「うん」という答えと、指先がタップする音だけ。スマホは彼にとって、私よりも心地よい友なのかもしれない。そんな風に感じるたび、自分が求めているものがただの幻想なのかと、心の中に小さな波紋が広がる。
私が求めているのは、行為後の優しい時間、ただ寄り添って静かに息を揃える瞬間。その価値を理解してくれる誰かと過ごせる時間。スマホを手放して、ただ隣にいるだけで幸せだと思える相手。そんな人を、私は望んでいる。
彼がスマホを置き、私に微笑んでくれる日が来るのかどうかはわからない。でも、私は知っている。温かな夜を包むのは、画面の光ではなく、心と心が触れ合う時間だということを。
明の写メ日記
-
夜の隙間にあるもの明