【全ての貴女に捧げます】
今日は、少し風の強い午後だった。<br />
空はどこか不安げなグレーで、だけどその中にやわらかな光が差していて、まるで誰かの心を映しているみたいだった。
初めて会う方と過ごす時間は、いつだって少しの緊張と、たくさんの想いが交差する。<br />
「うまく話せるかな」「ちゃんと受け止められるかな」<br />
そんなふうに、僕も毎回、自分に問いかけている。
でも、不思議だ。<br />
目と目が合って、最初の一言を交わすと、<br />
その人の中にある、やさしさとか、強さとか、寂しさとかが<br />
ゆっくりと伝わってくる気がする。
言葉にならない想いを、<br />
ぎゅっと握った手のぬくもりで、<br />
僕たちは少しずつ、分かち合っていく。
「こんなこと、誰にも言ったことなかった」<br />
そう呟いた声が、<br />
心の奥でそっと響いて、僕の中にも小さな灯りがともった。
僕は、特別なことなんてできないけれど、<br />
この場所でだけは、<br />
あなたが肩の力を抜いて、<br />
素のままでいられるように。
たった一度の出会いでも、<br />
「来てよかった」って思ってもらえるように。
そんな想いで、今日もドアを開ける。
恭介の写メ日記
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「来てよかった」って思ってもらえるように恭介