真っ白な心に揺られて、ただ、風の音に耳を澄ませるお昼前。<br />
まだ何者にも染まっていないこの想いが、どこへ向かうのかも知らずに、ふわりふわりと漂っている。
冷たいようで、どこかあたたかい。<br />
触れた瞬間、溶けてしまいそうなほど、儚くて繊細なこの気持ちを、誰かに伝えたいわけじゃない。<br />
ただ、心の奥で静かに灯っているだけでいい。<br />
世界がどれだけ騒がしくても、この一瞬だけは、何も求めず、何も背負わず、ただ「今」を感じていたい。
空を見上げると、雲はまるで夢のかけらみたいにゆっくりと流れていく。<br />
僕の心も、あんなふうに自由でいられたなら、どれだけ楽だろう。<br />
けれど、人はいつしか色を持って、形をつくって、生きていくものだから、<br />
この無垢な時間も、きっとすぐに過ぎてしまうんだろうね。
それでもいい。<br />
今日という日の中で、確かに感じたこの揺らぎを、僕は忘れない。<br />
何もなかったように見える白いページに、確かに刻まれているから。<br />
それは、始まりの証。<br />
まだ誰のものでもない、僕だけの心の声。
――ただ、思うことがあるんだよ。<br />
言葉にしなくても、確かにここにある想いが。
恭介の写メ日記
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真っ白な心に揺られて恭介