カツ丼──それは単なる料理ではない。心をもてあそび、胃袋を奪い、ついには幸福感に包み込んでくる、一種の誘惑の化身である。
私はその魅力に引き寄せられ、無意識のうちにその存在に心を奪われてしまうのだ。
今日もまた、ふとカツ丼のことが頭をよぎってしまった。あのサクサクの衣、じゅわっと広がる肉の旨み、そして卵でとじられたあのふわふわ感が、私の脳内をぐるぐると回る。
まるで、美味しいものに引き寄せられて動かない小動物のような気分だ。知らんけど。
店構えが味のある定食屋を見つけ、テーブル席に座りすぐに注文をした。「カツ丼、ください」と。
店主がにっこりと笑って、「はいよ!」と返す。その瞬間、カツ丼が私を待っているのだと思うと、まるで映画のクライマックスを前にした予感のようで、心拍数が少しだけ早くなってくる。
ついにカツ丼が目の前に運ばれてきた。
お椀から立ち上る湯気が、まるでカツ丼そのものが何か魔法のように私を引き寄せているかのように感じられる。
卵がとろりと絡みつき、カツの上にうっすらと黄金色に光っている。ああ、なんという誘惑の塊だろう。
今すぐにでも食べたい。だが、少しだけ我慢し、深呼吸をひとつ。カツ丼には、食べるタイミングがあると思っているからだ。
第一口を入れると、その感触が全身に伝わる。サクッとしたカツの食感と、ジューシーな肉汁が広がり、卵がふんわりと絡みつく瞬間。口の中で美味しさが爆発するような感じが、もうたまらない。
思わず顔がほころび、鼻から抜ける空気に満たされる。鼻の穴がいつもの倍になってたと思う。
だが、カツ丼の魔力はここで終わらない。次第に食べ進めるうちに、私の意識は完全にカツ丼に支配されていく。食べるごとに味わいが増していき、私はその瞬間、完全にカツ丼と一体化したような気がする。
俺はもしかしてカツ丼なのか!!
途中で一瞬、感慨深くなり、「これを食べるために生まれてきたのか?」と思ってしまうほどだ。
あっという間に完食した後、満足感で胸がいっぱいになる。あんなにも美味しかったカツ丼が、すっかり私の胃袋に収まっているのはなんだか残念でもあり不思議な感覚になった。
カツ丼は単なる食事ではなく、心の充実感をもたらしてくれる一大イベントなのだ。次回もまた、誘惑に負けて、その魅力にどっぷりと浸かることを誓うのであった。
恭介の写メ日記
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カツ丼ーそれは誘惑だらけの食べ物恭介