「大丈夫だよ」
そう彼女に告げると僕はその小さな体を優しく抱き締めた。
赤子をあやすようにそっと優しく包み込むように。
大丈夫・・・。大丈夫・・・。
彼女は震えていた。
彼女は大人になるのを恐れていた。
彼女は僕という男しか知らなかった。
「大人になることは怖いことじゃないよ。僕は君と一緒に行きたいんだ。」
そっと彼女の頬に手を当てた。
熟した林檎のようにみずみずしく、真ん丸で赤くなった彼女の頬のぬくもりを確かめるかようにすーっと指先でなぞる。
だんだん僕の指先が熱くなってくるのがわかる。
その熱を冷まそうとするかのように彼女の吐息が強くなる。
大丈夫だよ。
優しく撫でたのとは対照的に、少しばかり強引に引き寄せ彼女の吐息に蓋をした。
彼女の吐息の風が僕の体の中を吹き抜ける。
その風はすーっと僕の体の中の下へ下へと吹き抜けていく。
それを追い越そうと僕の手が彼女の体の下へ下へと伸びる。
サラっとしたシルクの生地を突き抜けると、やがて柔らかく肉厚な壁に当たった。
それは外からじわじわと僕の指先を湿らせてくる。
すると彼女は、まるで「大人になりたくない。」と駄々をこねる子どものように僕を激しく突き放した。
しばらく僕は指先についた透明なネバネバした糸を見つめ、大人になれない彼女にこう言った。
「ネバーランド」
拓也
拓也の写メ日記
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【大丈夫だよ】拓也