僕は、前職で建築現場の現場監督をしていました。 ある日、工事中に飛んできた鉄の破片が目に突き刺さり、急いで病院に運ばれました。
そのまま緊急手術を受けることになり、後から聞いた話では5時間に及ぶ手術だったそうです。
数日後、目を覚ました僕に主治医はこう伝えました。 「左目の視力は戻らない」
その一言で、僕は絶望の淵に立たされたように感じました。その時の主治医の表情、後ろで泣き崩れる両親、今でもあの光景は忘れません。
それでも、見た目だけは自然に近づけてくれた先生には、今でも感謝しています。
あの出来事を境に、それまで当たり前だった世界が一変しました。 片目を失ったことで、視界もバランスも崩れて、心も体も思うようについてこなかった。
けれど、それは「見えなくなった」のではなく、「本当に大切なものが見えるようになった」瞬間だったんです。 何より忘れられない。
病室の隅で泣きながら僕の手を握ってくれた両親の姿。 何もかもを失った気がして、心も体も動かなくなっていた僕を、懸命に支えてくれたんです。
言葉にならない思いを抱えながらも、そばにいてくれて、どんな僕でも受け入れてくれた。
その存在が、どれほど心強かったか──今になってようやく、その深さがわかる気がします。
あのとき僕を支えてくれた“癒し”という存在。 静かなぬくもりに包まれるような感覚、そっと背中を押してくれるような空気──
それに触れるたびに、「もう一度やってみよう」と思える自分が少しずつ戻ってきたんです。 それが、僕のすべてを変えるきっかけになりました。
だから僕は、セラピストという道を選びました。 この手で、僕と同じように傷ついた誰かに、少しでもあたたかさを届けたい。
どん底にいたとしても、「きっとなんとかなるよ」と伝えたい。 そんな思いを持って、今ここにいます。
そして僕は、ただ“癒す”だけでは終わりたくない。 人の心、体、言葉、生き方── そのすべてに、もっと深く触れてみたいと思っています。
僕の中にある探究心と好奇心は、今も静かに燃え続けています。
人として、もっと成長したい。 昨日の自分より、少しでも優しく、少しでも柔らかく、強くなりたい。 そのために、僕にとってこの仕事は、挑戦であり、希望です。
僕は「片目の見えないセラピスト」。 だけど、だからこそ、誰よりも人の心の痛みに気づけると信じています。 この生き方が、僕にとっての答え。
そしてこれからも、変わらず成長し続けていきます。
飯塚ゆめと
飯塚 ゆめとの写メ日記
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セラピストを目指した理由飯塚 ゆめと