空腹。空腹。
イヤホンからはジョン・コルトレーンの『My Favorite
Things』が流れている。「そうだ、京都行こう」のCMにも起用された名曲。博多にいるのにこんな曲を聴いているからなのか、体感空腹度数の上昇は止まらない。
うぅ、お腹すいたよ。
キャリーケースを転がしながら、僕はまるでゾンビのように博多駅周辺をひたすら徘徊していた。
歩いても歩いてもピンと来るお店がない。「博多グルメ」というものに囚われすぎているのか、慎重になりすぎているのか。正解が分からなくなってきた。
いや、そもそも昼食に正解なんてない。
そんなものあってたまるか!!
「正解を選ぶ」んじゃない。自分の選んだ選択を「正解にする」覚悟こそが肝心だ。
その瞬間、きめた。
「そうだ、地下街行こう」
地下街の案内板を見てみると、パスタ、とんかつ、もつ鍋、焼肉……、そしてうどん。
うどん!?!?!?
博多といえば豚骨ラーメンという固定観念があった。でも、うどんも実は福岡が発祥の地だと聞いたこともあるような…。
それならば、「福岡発祥の地」にかこつけて、うどんを食べようじゃないか!
元々うどん好きの僕にとっては、これがベストな選択に思えた。
お店の名前は「大地のうどん」。なかなか良いネーミング。
既に店前には4、5人の行列ができていて、店内は繁盛しているみたいだった。
食券機によると「人気No.1 肉ごぼう天うどん」とのことで、せっかくだから人気No.1を頂こうという気持ちになった。
そして出てきたうどんがこれ!!!!
もううどんが見えない!!
ごぼうが連なり、重なり、輪になって、雨雲レーダーでみる台風のような形をしている。
この形はまさにギルティ!!!!
罪深い台風の形!!!!
うどんを母なる大地と見立てるならば、ごぼう天は大地に吹き荒れる、まさに嵐!!!!
この荒々しいごぼう天を止められるのは、もはや僕しかいない!!
僕は使命感に駆られて、ごぼう天に齧り付いた!!
……硬い!!でも美味い!!ごぼうはシャキシャキだ!
そして母なる大地うどんも頂きます!
……柔らかい!!!博多のうどんって、こんなに柔らかいの?!?!
小さい子どもでも食べられるような柔らかさ。新しい食感に感激!!まさに母なるうどんだぜ。
そして気付くと僕は完食していた。
このごぼう天うどんは、正解だったのか。不正解だったのか。
そんなことはもう、どうでもよくなっていた。
心地よい満腹感だけが、結局すべてを正解にしてくれる。
山田 えいとの写メ日記
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[ギルティ博多日誌]母なる大地うどん・吹き荒れるギルティごぼう天山田 えいと