この世で最も忌まわしい文言の一つに、「あなたの趣味は何ですか?」がある。聞いただけでも背筋が凍りそうだ。
そのあまりにも恐ろしい響きから、古代ギリシアでは悪魔祓いの際に用いられることもあり、悪魔に取り憑かれた者に対して「あなたの趣味は何ですか!!」と叫ぶ風習もあったという逸話が残っている。
そして現代社会においても、我々は常に「あなたの趣味は何ですか?」と隣り合わせの生活を強いられているのだ。
一寸の油断も許されない社会で、我々は対応策を講じなければならない。
まず第一に「趣味は何ですか?」が何故これほどまでに恐ろしい質問なのかを社会数理学的手法で分析したアメリカの研究チームがある。
彼らによると、
もし仮に自分の趣味があったとしても、それを初めましてのあなたに伝えたところでとても専門的な話になってしまい、自分の趣味の話を広げることはその場の状況的にも一般的にも難しいケースがほとんどであるからだ。という。
「趣味は釣りです。」と伝えたところで、釣りなんかに興味無いであろう相手が、気を使って掘り下げて質問してくれるのが申し訳ない!でも聞いてくれるのが嬉しくてつい調子乗って話しすぎちゃったときの、ちょっとついていけない…みたいな相手の表情を見るのはもっと辛い。そんで、あ、話しすぎた。釣りの話題を変えなきゃと思って、焦って「逆にあなたの趣味は何ですか?」なんて聞いてしまったときには、もう負のスパイラル。何も生まない。誰も得しない。
別のパターンもある。自分の趣味が中途半端な場合だ。ミーハーだけどなんか最近ハマってる、みたいな趣味ってあるじゃん?そういうのをもし「趣味です」と答えてしまって、不運なことに相手がその道のガチ勢だった場合、詰む。完全に詰みの布陣ができあがる。
「僕はアニメ観るの好きです!」と答えた瞬間に、「え!私もアニメ好きなんですよ!!何が好きなんですか?」「えーっと、ワンピースとか、鬼滅の刃とか好きです!」と答えた時の相手の失意に沈んだ表情なんかを見てしまったら、あまりの気まずさに土に埋まりたくなってしまう。有名どころしか観てなくてすみません。と謎に要らぬ謝罪を心の中でして、そして土の中で眠ることになる。
お分かりいただけただろうか?
これだから、、、「趣味は何ですか?」は恐ろしい質問なのだ。とある小国では特殊指定禁止語句として国家ぐるみで使用が禁止されているところもあるほどだ。
いやもちろん、趣味が偶然同じで、そして偶然同じくらいの熱量を持っていた場合、それは非常に素晴らしいことだ。きっと2人は心の友になれるだろう。でもね、それは博打を打つようなものさ。リスクが高すぎる、、、。
けれど、どうしても相手と仲良くなりたい場合、相手の私生活を知ることは、互いに打ち解け合うきっかけになるのは間違いない。
こうした場合に備えて、「リスクの低い趣味の聞き方」を心得ていなければならない。
これは現代社会に生きる我々にとって、最低限身につけておきたいマナーのひとつである。池上彰がテレビで教えていても違和感ないレベルで大事なことだ。
それが「推測法」である。
「趣味は何ですか?」とド直球に尋ねるのではなく、
「〇〇くん、絶対運動神経良いですよね!普段からスポーツとかされていたりするんですか?」
といったように、軽いジャブを挟んでから限定的に推測質問をする。こうすることで、相手に考える負担を与えないと同時に、ほとんどストレスをかけずに私生活に迫ることができる。
「いやあ〜、スポーツをやっていたのは僕が学生のときまでで、最近は休みの日も家に篭りっきりですよ。」
みたいな感じで少しずつ相手のことを知っていくのだ。いきなり最初から「趣味はなに!」と壁を飛び越えようとしない。ジャブを打ちながら壁を徐々に壊していく。
このように話を進めることで、互いにストレスを感じずに趣味に近づくことができる。
もちろんやり方はこれだけではないし、このやり方にもリスクや欠点はあるが、直球に聞くよりかはマシである。
まあでも、なんだかんだ「趣味は何ですか?」と聞かれるのも、自分のこと知ろうとしてくれてるんだなと思えて、それはそれで嬉しかったりもする。質問してくれるだけで嬉しい。
皆さん、趣味は何ですか?
山田 えいとの写メ日記
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「趣味は何ですか?」に関する所見山田 えいと