この前、親友と赤提灯横丁みたいなところで飲んだ。
カウンター席で、僕たちはビール片手にきゅうりと焼き鳥をつまんでいた。
これまでの話とこれからの話をした。
懐かしい話もできるし、将来の夢の話もできる。
そんな友達って、貴重だなと思う。
僕たちは恥ずかしげもなく、夢を語り合った。
しばらく飲んでから、僕らは「ウイスキーをロックで飲もうぜ」という話になった。多分、少し背伸びしたい気分になったんだろう。
僕たちがメニューを眺めていると、厨房に立っていた大きなおじさんが話しかけてきた。
「山崎はいいぞ。特に12年は全然違う。」
「ブラックニッカよりも美味しいですか?」
「あぁぁんん?!全然ちげぇよ!居酒屋行って、ブラックニッカが出てきたら、俺だったら暴れるね」
ほほう。そんなに言うなら呑んでみようじゃないか。山崎12年とやらを。
「じゃあロックで、2杯お願いします」
僕たちの前に2つのグラスが置かれた。大きな丸い氷がひとつ。そこにウィスキーが注がれた。氷がキラキラ光る。氷がピキッと割れる音がする。
さっそく呑もうとグラスに口をつけると、
「おおっと、ちょっと待った!お兄さん目を瞑って呑んでごらん。こういう良い酒は目を瞑って呑むもんだ。」
ほほう。そういうものなのか。
それならと、僕らはふたりして目を瞑って静かに味わった。
ゴクリ。
そして神妙な顔をして「うまい」と言った。いや、言っておいた。というのが正しいかもしれない。
正直、僕の舌はアホなので、違いはよく分からない。でもとりあえず呑みやすいのは間違いないし、美味しいのも間違いなかった。
ふと、横を向いて相方の顔を見てみたが、僕と同じ「神妙な」顔をしていたので、思わず吹き出しそうになってしまった。あぶないあぶない、大切な山崎を吹き出す訳にはいかない。
「どうだい?やっぱり良い酒はうまいか?」
「はい!美味しいです!なんだか大人になった気分です。」
「はっはっは、それは良かった。」
おじさんは優しい目で笑った。
山田 えいとの写メ日記
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山崎12年の呑み方を人生の先輩に教わった山田 えいと