
「セックスワークにも給付金を」訴訟のクラウドファンディング開始!その時、当事者たちは……
新型コロナにおける「持続化給付金」「家賃支援給付金」の対象から除外され差別を受けた性風俗店が、国に対しての訴訟を行うことが明らかになりました。そして、そのための資金を集めるべく、「セックスワークにも給付金を」訴訟のクラウドファンディングを開始しています。(2020年11月24日まで)
原告である大阪でデリヘル店を営む経営者は、「『この職業だけは助けない』と国が決めることは、命の選別であり職業差別」であること、さらに「性風俗業という職業に対する世の中からの偏見や差別意識がいっそう助長」することを危惧しています。
風俗店がセックスワーカーの安全に働ける場所であるために。性風俗業界全体の未来のために。さらに、今後また別の業種の事業者たちが同様のいわれのない差別を受けることがないように。今回の訴訟はとても大きな使命を担っていると言えましょう。
今回、我々はこの動きに賛同している、とある地方のデリヘル経営者へのインタビューを敢行。匿名を条件にこの件についての率直な思いを述べていただきました。
デリヘル経営者 匿名インタビュー
――コロナによる集客の影響は実際にありましたか?
「ニュースでコロナ感染者数が増えたと報道されるたびに、お客様の数が減っていきました。もともと経営体力のない風俗店は潰れたところもありますし、変わらずに厳しい状況です。夜の街バッシングの影響は、地方は東京ほどはないですね。コロナは感染してから2週間隔離することになっているので、地元で感染者が出たという報道があるとそこから2週間経過してからお客さんがぽつぽつ戻ってくるような感じです」
――ニュースでコロナ感染者数を毎日報道しないで欲しいという思いはありましたか?
「報道はあった方が当然いいんですよ。『熱ある気がするなあ』とふと思った時に、体温を測ってどの程度だと心配なのかとか把握しやすいし、今現在感染者が何人いて、それは多いのか少ないのかはやっぱり知りたいですからね。ただ、一方的に、『大変なことになっているよ!』という危機感を募らせるだけのような報道の仕方には、ちょっと問題があるように思えます。国民の危機感を煽って自粛させるという意味合いがあるのかもしれませんが、事実を正確に伝えるためには危機感だけというのはよくない。安心感も含め、両方を報道すべきだと思います。『大変だよ、怖いでしょ、家から出ないで』ばかりだと、国民は行動だけではなく気持ちも自粛してしまう。『いつになったら薬ができますよ』とか、将来に対しての希望、安心感に繋がる情報も報道に入れていくべきです」
――コロナ禍の下での営業中にどのような対策を行っていましたか?
「感染リスクを減らすためにスタッフやお客様にマスクをお配りしました。感染者の多い県外からのお客様の利用を控えてもらうようにも。また、売り上げが下がったとしても、スタッフたちには、給料を保障することを約束しました」
――持続化給付金を受けられないことを知った時にどう思いましたか?
「世の中の業種は義務として税金を払っていて、いざとなった時には国が助けてくれますよね。でも風俗の場合は、同じように税金を払っていて義務は果たしているのに、権利として貰えるはずのところから対象外になっています。これは不公平です。よくそんなことを政府が恥ずかしくもなく言えたなと。日本に住んでいる国民全員が平等な権利を受けられる先進国のはずなのに、『義務は果たしなさい、お金は払いなさい、でも困ったときにお金はもらえませんよ』ってことでしょう?そんなことを国はよく言えたなと思います」
――今回のクラウドファンディングについて思うことを率直にお答えいただけますか?
「世間や政府の価値観が変わることを期待しています」
緊急事態宣言が解除された後も、感染者が増え続けているのが現状。依然として風俗店経営が厳しい状態であることには変わりありません。長引くウィズコロナ時代の中、性風俗に対する社会の偏見や差別が少しでもなくなるよう願っています。
■クラウドファンディング
https://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000064