
エロティックホラー『シオリノインム』佐藤周(監督)と松川千紘(主演女優)が映画秘話から女性の性欲まですべてを語る
「エロい夢を見て飛び起きた」とか「ムラっとする夢を見ながら起きた」などの経験は誰もが一度はあるのではないでしょうか。
12月11日にキングレコードよりDVDとBlu-rayが発売される『シオリノインム』は、まさにそんな“淫夢”がテーマのエロティックホラー。でも、ただの淫夢ではなく、夢で何者かに犯され続けるうちにやがて現実にもその何者かが現れ、昼夜問わず襲われるっていうトンデモなストーリー!
今回、この映画の主演女優を果たし、本格演技は初めてにも関わらず大胆にも豊満なバスト92㎝をドバーンと晒け出した松川千紘さんと、『怪談新耳袋Gメン』シリーズを手がけるジャパニーズホラーの新星、佐藤周監督による対談が実現しました。
そして映画の制作秘話はもちろん、女性の性欲についても語ったのですー!
――今回は松川さんにも佐藤監督にとっても、不安要素を抱えながらの撮影スタートだったのでは?
佐藤周(以下、佐藤)もちろん最初は予算も時間もないなかで松川がどこまでやれるのか、本当に撮り切れるのか不安しかありませんでした。新人女優で、しかもちょっと脱ぐ程度ではなくトリッキーな濡れ場というかセックスシーンが満載すぎて、ある意味、雑に脱がしてしまったなと。途中で泣いて帰っちゃうんじゃないかと思ってましたから。
松川千紘(以下、松川)大丈夫です、ちゃんとロケ2日目くらいの帰り道で早々と泣きましたから(笑)。初めて濡れ場の撮影をする時も「次、裸だから」って淡々と言われ「ああ、こんなふーに女優は脱がされてくのか〜」と呆気なくて悲しくなって。後悔はひとつもありませんでしたが、なんとなく心がザラッとした感じで荒みましたね。
佐藤 いやー、そこは申し訳なかったとしか言いようがない! もっと時間に余裕があれば脱ぐまでの気持ち作りをするための環境や余裕もあったはずなのに、それができなかた。でもさ、案外、慣れるのも早かったよね。
松川 はい。フツーの人間相手の濡れ場と違うぶっ飛んだ設定の濡れ場だったというのも、吹っ切れやすかったのかも。
佐藤 そうね。俺ですら「一体ナニ撮ってるんだ!?」って瞬間もあったし、なにより「ヤバいもん撮ってんなー、俺」って思ってたから。
――監督自身も「ヤバいもん撮ってる」と思うのもそのはず、本作はぶっ飛んだセックスシーンの連発に釘付けでした。初っ端から、松川さん演じる詩織が生理中のムラムラを抑えきれずにオナニーをしてるところを彼氏に目撃されて別れることに。傷心を抱えるなか、何者かに睡眠中に胸を揉まれ全身を舐められ、犯される夢を見るようになる。その何者かが次第に現実に現れるようになり、詩織のバイト中であろうと犯し、詩織自身もダメだと思いながらも快楽に溺れ、いつしか抜け出せなくなってしまう…というストーリーなのです――
佐藤 バイト中にバックで犯されたり、彼氏の目の前で犯されたり、そのピストンの動きも尋常じゃなかったり、シーツの中で胸を揉まれて一人で気持ちよがらなきゃいけなかったりと、脱ぎっぷりはもちろん、ちゃんと芝居をしてくれた精神力が凄かった。
松川 はい。私も、「何をしてるんだろう、これは?」と思いながら演技をしていたんですけど、次第にそういう余計なことは考えずにただひたすらに没頭しました。なんだかよくわからないけどなりきろうと必死でした。
佐藤 当初の映画のプロットは、主人公が霊に犯されて酷い目に遭う悲惨な内容でした。でも、ある複数の女性タレントから“幽霊とセックスする夢を見たことがある”ことや“夢でするセックスは気持ちがいい”という経験談を聞き、プロデューサーとも相談して幽霊とセックスしてその快楽に溺れる話にしよう、女性の性的な快感の気持ち良さに寄せた内容にしようってシフトチェンジしたんです。
松川 おっ。快感って単語が出てた(笑)。ようやく女性向け風俗“kaikan”さんに関連した話ができそうな?
佐藤 あはは(笑)。でも、昨今はオナニーグッズにしろ女性向けAVにしろ、女性の性欲を満たそうとするモノは増えてきていますよね。それに僕も、生理中で彼氏とセックスできずに悶々としてる詩織を描くにあたり、女性の性欲の奥深さを改めて知りましたし。
松川 あ、でもですね。生理中にムラムラするって話はよく聞きますけど、私自身は腰もお腹も痛くなるし、セックスどころではなくなりますね。
佐藤 そういうタイプもいらっしゃるようですね。僕は今回“生理中のオナニー”を劇中で描くにあたり、女性が見て違和感を感じるものにしたくなかったので、かなり慎重にリサーチしたけどね。結果、意外とする子は多いっていう。
松川 でしょうね。私は生理=不浄の血っていう感覚があるし、極力、そこには触れたくない。でもまあ、生理中でも相手が気にしなければ良いやって女性も多いとは思います。
佐藤 まあ、僕があのシーンを描いたのは、生理時のオナニーやセックスにしろ、男女間でコミュニケーションして互いに良いセックスしようよ、男女のディスコミュニケーションをなくそうよって言いたかったわけで、決して生理中のオナニーを否定したわけではないんですよー。
松川 でも、「生理中だってセックスしたい」って男性に言ったところで、その男性が気分が乗らなかったり興奮しなければセックスは成り立たないし、難しくないですか? だから適度に女性向け風俗とかで発散するのが良いってことなんでしょうか。
佐藤 俺はね、自分の奥さんが仮に女性向け風俗に行ったとしても、嫌だけど、まあ、一般の男性とデートして手を繋いだり抱き合ったりキスしたりっていう恋に発展しそうなことをしない限りは許せるような気がする。男もね、ただ出したいって欲望だけで風俗に行くとかあるわけだし、女性もそういう感覚ならアリかな、とかね。
松川 同じ人だけを相手にセックスとか性欲発散しようとするから、それが満たされずにモヤモヤしたりイライラするのであって。他で解消するというのは大事かもしれませんね。でも、先ほど仰ってた、手繋ぎもキスもハグも、セックス中にするじゃないですか。セックス中のそれと、デート中のそれとどう違うのですか?
佐藤 いやー、デート中のキスやハグは想いがあってのそれじゃん。恋に発展しちゃうじゃん。セックス中のそれはただのアクションっていうか流れだから。
松川 あー。でも女性の場合はセックス中のハグやキスで十分、惚れてしまうこともあるわけでねー。そこが本当の意味での男女のディスコミュニケーションかも(笑)。
佐藤 なるほど(笑)。でも僕はね、今回の映画を作ってから、皆さんに「成長したね」ってお褒めの言葉をいただいたよ。これまで僕が作る映画の方向性的に、霊に犯されて酷い目に合う話とかだったんで。女性の性欲に寄り添った方向性だったので、そんなお褒めの言葉をいただけたのかなと。
松川 でも、詩織は劇中で淫夢が現実となって、そのセックスに溺れちゃってますし、ハッピーともバッドともどちらでもないっていう(笑)。
佐藤 そうね、現実に現れた霊体に犯され恐怖を感じながらも快楽を感じてしまう、抜け出せなくなってしまうという“セックス依存”が裏テーマでもあるからね。
松川 でも、この映画に出させていただいて、どこでご挨拶をしても「インムの子だよ」って言われるようになり、何者でもなかった私が「インムの子」になって(笑)、確実に知名度は上がりました。
佐藤 インムの子(笑)。でも、逆にエロい目で見られたりとか、大丈夫ですか?
松川 オールヌードのデジタル写真集も出させていただいたんですよ。なのでファンの方から「この写真でヌキました」とかってDMが来ると驚きますけどね。でも、いろんなお仕事のご依頼もいただけるようになり、感謝しかありません!
佐藤 次はせめて霊体ばかりじゃなくて人間とセックスするシーンを撮りたいね(笑)。『シオリノインム』がシリーズ化されて、第6作目くらいで松川に出てもらって、「霊体とセックスをする教祖様」とかで出てもらいたい。
松川 またそんなぶっ飛んだ役柄を(笑)。今度は脱ぎのシーンがある時は「もう脱ぐとかやりませんから」って断るかもしれませんよ!
『シオリノインム』Blu-ray&DVD
エロティカクイーン レーベル第5弾『シオリノインム』Blu-ray&DVD 12/11発売
発売・販売/キングレコード 価格/Blu-ray 4,800、DVD 3,800(税別)
●佐藤周
立命館大学在学中に映画『へんたい』を制作、「学生残酷映画祭2011」でグランプリを受賞。『振り返ってはいけない』(主演 佐藤聖羅、原作 岩井志麻子)を監督、その後、『怪談新耳袋Gメン』シリーズの監督に抜擢。