「怖いのは罹ることではなく、自覚がないまま広めてしまうこと」女風店オーナーたちによる性感染症対策座談会!

「怖いのは罹ることではなく、自覚がないまま広めてしまうこと」女風店オーナーたちによる性感染症対策座談会!

目次

1. それぞれの性感染症対策
2. セラピストが陽性だった!その時お店はどうする?!
3. より安全安心な業界であるためにはお客様の協力が不可欠

性行為や粘膜接触によって感染する「性感染症」。近年では梅毒のみならず、喉クラミジアや喉淋菌なども男女ともに増加傾向にあり、社会的にも問題になっています。

誰にでも発症リスクのある身近な疾患である一方、発見・治療の遅れによる感染拡大も危惧されている昨今。女風の世界では、「性感染症」に対し、どのような対応を行っているのでしょうか?

今回は、キャストの個性が光るグループ店『greed』『LUST』『GLUTTONY』のオーナーさんと、心と身体の解放区として東京、大阪に店舗を展開する『santuario』のオーナーさんにお話を伺いました。

 

それぞれの性感染症対策

――『greed』さん、『santuario』さん、それぞれの性感染症対策について教えてください。

それぞれの性感染症対策について

 

『greed』『LUST』『GLUTTONY』オーナー(以下、G) 定期的な検査、これに尽きると思います。当店では1ヶ月に1回を目安に行っています。

『santuario』オーナー(以下、S) 回数はセラピスト個人の稼働量や意識の高さによって変わりますので、2週間に1度の頻度で受けているケースもありますね。

 

――予防法というものはあるのでしょうか?

G 最近は100%ではないものの性感染症を防ぐ予防薬もあります。とはいえ体への負担が多少なりとも考えられますから、お店からは特に推奨していません。セラピスト自身が体と相談して判断しています。

S うがいと手洗いは感染予防の基本です。殺菌力の高いうがい薬などを普段から使うように呼びかけています。本人の免疫力や体力、ストレス具合などによっても感染のしやすさは変わると思うので、日々の睡眠や食事を大切にするようにという話もしています。性感染症に限らず、風邪やインフルエンザなどでも同じことが言えますよね。

 

――性感染症検査の項目数ってどれくらいあるのですか?

S 喉・性器の淋菌とクラミジア、HIV、梅毒が男女共に一般的かと。郵送の検査キットの場合は検査機関に届くまで2日程度、更に3日程度で結果が出ます。つまり投函から結果確認までは1週間みておくと良いと思います。

G 専門の病院で検査を受けると、1~2日後には結果がわかります。近くに病院がない、足を運ぶ時間がないという方は検査キットを。急ぎで調べたい方なら病院という使い分けをしているようですね。

 

――どちらの検査を受けるにしても、周りにバレたりする可能性はないのでしょうか?

G 病院も検査キットも本名ではなく偽名で受けることが可能です。身分証を提示する必要もありません。自由診療ですからセラピストたちも源氏名で検査していますし、もちろん女性も「山田花子」など仮名で大丈夫ですよ。

S 検査結果はスマホで確認できます。自宅に何か送られてきたり、保険証に履歴が残ることもありません。郵送キットを検査機関から取り寄せる際も、品名は「化粧品」になっていたり、送り元も個人名にしてくれていたり。ご家族に知られることが怖くて気軽に検査できないという女性もいらっしゃると思いますが、そのあたりの検査機関側の気遣いは本当に手厚いです。同居の方がいらっしゃっても過度な心配をせずに利用できると思いますし、それでも不安な方は郵便局留めなども選択できますよ。

 

セラピストが陽性だった!その時お店はどうする?!

セラピストが陽性だった!その時お店はどうする?!

 

――セラピストが陽性になった時、お客様に連絡はしているのですか?

G もちろんです。そうしないと永遠にピンポン感染になってしまいます。セラピストが治してもお客様が何も知らないままでは同じことですから。

S 前回の検査から、陽性が出た検査までの間にご予約があったお客様全員にセラピスト本人から報告をしています。感染する可能性は誰にでもありますし投薬で治りはしますが、それで終わりにはできません。蔓延を防ぐためにはどこから感染したのかを突き止めていかないといけないんです。お客様が感染していたとなれば、セラピストだけでなくご自身のパートナーも罹ってしまう可能性があるので、経路を明らかにしなければご本人への影響が大きいと思います。お客様側の検査は義務ではありませんが、陽性にしろ陰性にしろ検査結果のご報告をお願いします、いうことはお伝えしています。

G うちはお客様からのフィードバックは特に求めていないですね。セラピスト側から報告を行うだけです。ただ、ほとんどのお客様が自発的に「陰性でした」「陽性でした」と連絡をくださいます。改めて近年のお客様方は意識が高いのだと実感しています。

 

――たまに、SNSでセラピストさん自身が「陽性でした」と発信しているのを目にしますが。

G あくまでも性病を蔓延させないことが目的ですから、デリケートな個人情報をそこまでオープンにする必要はないと個人的には思っています。

S 私も同じ考えです。前回の検査以降に来られたお客様と、これからのご予約を入れていただいているお客様への個別連絡が済めば問題はありませんから、不特定多数の方々にまでSNSで開示する必要や義務があるとは思っていないんです。公表するかどうかはセラピストの意思を尊重して決めています。

G ただ、公表することで「現実として、性感染症に罹ることはある」という注意喚起の意義は存在すると感じています。そう考えると発信することも勇気といえますし、素晴らしいことだと思います。

 

――でも先日Gさんのお店でセラピストの方が陽性だったことを公表されていましたよね。

G 病によっては治癒しても検査の数値が何年間も反応してしまうものがあります。これが知られていないとセラピストの検査結果を見たお客様を不安にさせてしまう場合があると考え、あえて公表することにしました。

 

――確かに、それはあまり知られていない情報かもしれません。ただ、こうした発信は炎上を生む可能性もあったと思うのですが。

G 叩かれる覚悟はしていましたね。しかし想像以上に理解をしてくださった方が多かったことに驚きました。特にお店のお客様は心中穏やかではなかったと思います。それなのに逆にこちらへ心配のお声を掛けてくださって、本当に感謝しています。

S SNS上で心無い言葉での攻撃が全くなかった様子を見て、他のお店のセラピストさんのこととはいえ、やはりホッとしました。

G お客様方の優しさが嬉しかったですね。また一方で、お客様の性感染症への意識が大きく変わったようにも感じました。以前は「私は絶対に罹らない」という根拠ない自信のある方も多かったので。

 

――事実として、ここ数年で陽性率は上がっていますしね。

G でもそれは風俗業界が積極的に検査をしているから明らかになっている、という側面もあると思います。

S 風俗従事者や利用者以外において、罹っている自覚がないまま以前より蔓延しているのではないかと危惧しています。

G うちの店では、講習を受けただけでデビューに至らなかったセラピストが年間10人以上います。その内の3人に1人は講習前の検査で何かしら陽性が出ていましたね。

S 風俗従事未経験の男性で、3割ということですよね。なかなか高確率で心配になりますね…。

G 驚いたことに、陽性だったのは「僕は普段から検査をしています」と言っている人ばかりだったんです。

 

より安全安心な業界であるためにはお客様の協力が不可欠

より安全安心な業界であるためにはお客様の協力が不可欠

 

――なぜ、定期的に検査をしているはずなのに陽性に?

G 実は風俗従事未経験の方は、性器のチェックはしていても、喉までは検査していないことが多いんです。性感染症=性器のイメージが強いのかもしれません。

S 喉は自覚症状を感じにくいんです。ちょっとイガイガする、赤くなっている、くらいだと「風邪かな?」と思ってしまいますし、性感染症だとは気が付かないようです。

G 性感染症に罹ること自体は仕方がないことですし、悪ではありません。罹ったのであれば治せばいいのです。それを放置して蔓延させることが良くないのだと思います。

 

――では、より安心かつ安全な女風業界であるために、必要なことは何だと思いますか?

G 自覚がないまま周りに感染させることがないよう、早期発見・早期治療。

S 陽性者が出た際に決して犯人探しをするのではなく、蔓延防止のためにみんなでしっかりと治しましょう!という話です。怖いのは、性感染症に対して無知であること。正しい知識を持っていれば対策はいくらでもあります。自然治癒はしませんから放っておいても治らない……これだけは頭に置いておいてください。どんな病でも同じです。「症状がないから大丈夫」という考え方はしないでください。お客様に安全にご利用いただくためには、お客様に協力していただくことが本当に重要なのです。『santuario』には検査割引もありますのでぜひご活用ください。

G 当グループも『LUST』で検査割引がスタートしました。上手に使って楽しんでいただけたらと思います!

 

――ありがとうございました!

この記事を書いたライター

mochizukichiyoko

もちづき千代子

豊満系人妻フリーライター。AVメーカー広報・風俗情報サイト編集長・アダルトグッズメーカー広報を経て現在に至る。だいたいエッチなことか食べ物のことを書いている。



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