「おい起きろ、起きろっておい」
─うっ...ここはどこだ
聞き馴染みのある声がする
誰かが遠くで呼んでるような
気がして目が覚めた
重い瞼を開けるとフェニックス山田が
僕を見下ろしていた(前回日記参照)
─おい山田!なんだここは!!?
「俺にもよく分からないんだ、
ただ一つだけ確かなのは
俺たちのような人間が何人も
ここにいるってことだ」
あたりを見渡すと不安そうな
顔をしている人たちが沢山いた
薄暗い大きな部屋
懐かしい匂い
間接照明がつけられている
使い古された黒板と教壇
年季の入った机と椅子
そこは教室だった
ただ一つ大きな違和感は
教室の後ろに置かれた
巨大なスクリーンだった
ふと黒板に目をやる
2008年 5月12日
─2008年...14年前...なんだここは...
「窓ガラスも割れないようね」
「一体何のためにこんなところに」
「力を合わせてここから出よう」
「携帯も繋がらない...なんだここは」
僕よりも先に目を覚ました人たちが
この空間から脱出を試みている
「いよいよ事件って感じね」
「ふざけんなよ!!!クソが!!」
「早く帰りたいよぉお!!!!!」
「風俗に行きたいよぉおおお」
混沌と不安が空間を支配する
取り乱している人もいた
僕は取り乱す山田を殴った
その時だった
ビ…ビーーーーーーーーーーーーー
教室の後ろにおかれた
巨大スクリーンの電源がついた
「なにが始まるの」
「だ、誰だ!!!!!」
黒いスーツに蝶ネクタイ
ピエロのお面を被った人間が映った
" 皆さまごきげんよう
ここに集まってもらったのは
20代後半からの男女だ
今からとあるゲームに挑戦してもらう
勝ち抜いた者には賞金を与えよう
棄権は認めない "
アタッシュケースが映される
中には大量の札束が入っていた
「ふざけるな!!!!」
「誰だお前は!!」
「なんのために!!!!」
" ふっふっふ...威勢がいいな
今から始まるゲーム...
それは真のアラサーを決める大会
アラサーグランプリだ!!! "
「ギャハハ!!名前だせぇ!!!」
「なによアラサーグランプリって」
" 君たちをエモ逝きさせる
さて耐えられるかな??
手始めに、そこの君からだ
こちらへ来い "
天井からカプセルが落とされた
名前をヤジったギャル男がそれを拾う
" そのカプセルを開けてみろ
そして中に入ってる紙を見ろ "
くっっ!!!!!
ギャル男が胸を押さえて片膝をつく
「エモい...エモいぜ.....くっ...」
" これがエモ逝きの序章だ
そいつが見たのは
ただの英語の羅列だぞ、どうした "
─何を見たって言うんだ...
" それでは第一ステージを始めよう
呼ばれた者から廊下に出て
隣の教室へ移れ
まずはそこの君だ "
深夜のドンキにいそうな
金髪ジャージサンダル男が呼ばれた
「てめえ!!何で俺なんだよ!!」
" 早く移りたまえ
あのギャル男のようになりたいのか"
ドンキ君が舌打ちをして廊下に出る
「一体これから何が始まるんだ」
「ドンキ君が無事なことを祈ろう」
「早くしないと予約時間に遅れる」
山田の股間を蹴り上げた
その時
ゥゥウウウアアアアアアアア!!
ドンキ君の断末魔が響き渡った
" 早速1人目の脱落者がでたようだ "
あれからどれくらいの経ったのだろう
呼ばれた者が次々に消えていく
脱落する者
何事もなくクリアしていく者
残された僕たちがそれを知る術は
廊下に響き渡る悲鳴の有無だった
" 次は君だ "
─ついに俺の番か
こんなふざけたゲームなんて
絶対にクリアしてやるぜ
薄暗い廊下に出て
隣の教室の扉を開けた
そこには集められた教室と同様に
巨大なスクリーンが置かれていた
" ようこそ第一ステージへ
さあ、ゲームを始めよう "
「なんだお前は、何が目的だ!」
" 目的なんてものはない、
強いていうなら暇つぶしさ "
「ふざけるな
こんなゲーム終わらせてやるぜ
さっさと始めろ!!!」
" 終わらせる...
ふっ、クリアしたら終わるさ
スクリーンを見つめろ
君に耐えられるかな "
─なんだ...エモ逝きってなんだ...
負けてたまるか、絶対に勝つ!!
─絶対にか
「ドン!!!!!!!!!!」
ギャ、、
ごはっっっ!!!!!!
はぁはぁはぁぜぇぜぇ
クソがっっ耐えたぞ!!!!
耐えたぞ俺は!!耐えた!!!
俺は!!不死身の銀だ!!!
クソッタレが!!!!!
エモすぎて危なかったぜ!!
" ほう、耐えたか。
おめでとう
第一ステージクリアだ!!!"
「ふざけるな!!!
こんなゲーム...身が持たねえ!!」
キャアアアアアアアアアアア!!!
隣の教室から声が聞こえた
女の子の悲鳴だ
僕の前に名前を呼ばれた
ピンクの髪をした厚底の
ヒップホップが好きそうな子だ
─なんだ...次は音楽でくるのか...?
なにがあるんだ....
重たい足取りで廊下に出る
─くそっ...危なかった
あれが恋愛系の歌詞のポエムの
待ち受け画像なら終わっていた
扉を開けると
薄暗い部屋の真ん中に机が置いてある
そこにピンスポットが当たって
アタッシュケースが照らされていた
机のすぐ側で山田が倒れている
「おい山田!!大丈夫か!起きろ!」
うなだれながら山田が目を開ける
「大丈夫だ...俺はフェニックス..
何度だって蘇るさ...だから頼む...
俺の右乳首を舐め... 」
アタッシュケースで
山田の顎を強めにぶん殴った
" 第二ステージだ
そのアタッシュケースを開けろ "
─なんだ...なにが入っている...
MP3プレイヤーか!!!?
ウォークマンか!!?
予想がつけばこっちのもんだせ
ぐはっああ!!!!
あ゛あああああああああ゛!!!
目覚めるとそこは家のベッドだった
急いで身体を起こす
寝汗をぐっしょりかいていた
記憶が曖昧だ
─なんだ....夢だったのか.....??
なんて悪夢なんだ....ハァハァ
ははっアラサーグランプリだなんて
そんなのある訳ないじゃないか...
起き上がろうとして気付いた
パジャマのポケットに
何か長方形の固いものが入っている
─ん?なんだろ?
ギャアアアアアアアアアア
名古屋萬天堂 銀
銀の写メ日記
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