35度の昼下がり。
窓の外から聞こえるセミの声が、今日も夏の本気を伝えてくる。
でも、俺の頭の中は違う世界。
たとえば今。
ここが海辺だったらって考えてみる。
パラソルの下、ゆるくまとめた姫の髪が風に揺れてる。
白いサングラスを外して、少しだけ目を細めて俺を見るその表情。
「ねぇ、日焼け止め…塗ってくれる?」
そんなセリフが耳に届いた瞬間、時間がスローモーションになる。
姫の背中に手を伸ばして、
日焼け止めをゆっくり塗るその感触。
肌に触れるたび、触れちゃいけない何かに近づいてる気がして、ちょっと緊張する。
でも、姫の方が、何食わぬ顔してそれを楽しんでる気もして。
足元には、波がそっと触れて。
遠くの子どもたちのはしゃぎ声。
けど俺の視線は、姫の肩から頬へと、ひたすらひたすら、彷徨ってる。
現実は、エアコンの効いた車の中。
けど、妄想の中の姫は、いつでも俺を熱くさせる存在。
次の休み。
現実に変えに行かない?
砂の上でも、俺はちゃんと、姫をエスコートするから。
優斗の写メ日記
-
昼下がり、波の音に誘われて優斗