「今日疲れているところはどこですか?」
はじまりはまるで専門のお店のよう。
心地よく響いてくる指の圧に身体を預けて、ゆっくりと力が抜けていくのを感じる。
「このまま寝ちゃいそう」なんて冗談混じりに話をしていると、力強いストロークが脚の付け根を一瞬かすめた。
「…っ!」
言葉にはならなかったけど、ほぐれ始めた身体に一瞬緊張が走り、血が巡るのを感じる。
指先は何事もなかったかのように別の場所を揉み始める。
ホテルの一室、セラピストと2人きり。
「そういうこと」をしに来ているのは自分でもわかっているけれど。
キスやハグをしながらなんとなく流れで始まっていくのとは違って、どうやって責められるか予測がつかない。
今まで肩の奥のコリをしっかりと捉えていた指先が向きを変え、耳の縁を優しくなぞった。
今度ははっきりと、身体に電流が走るのを感じた。
いたずらを見つかった子供が逃げ出すようにして指は離れていってしまうけれど、はっきりと意志は伝わった。
この指は
この手は
私を捕らえようとしている。
私の反応を愉しみながら、より強い反応をするのはどこか、注意深く探り出そうとしている。
薄暗い部屋の中に、少しずつ荒くなっていく私の吐息が響いている。
きっとそれすらも、セラピストは見逃さないのだろう。
まだ早いとばかりに気持ちいいポイントから指先が離れていく。
より多く、より強く、快感を呼び起こす場所を探して。
ああ、どうか
もっと強く
もっと激しく…