小さい頃
僕の家は母子家庭だった
今では言わないかもだけど、いわゆる鍵っ子だった
いつも首から家の鍵をぶら下げていて友達と遊んで帰ってきても家に誰も居らず、1人で過ごす時間が多かった
近くに住む同級生に2人の兄を持つやつがいた
その2人は地元でも有名な悪で、その弟なだけあって僕の同級生も悪だった
小さい頃の僕にとってはその2人の悪はカッコよく見えたし、何よりも1人で居なくてすむからよく一緒に遊んでいた
保育園児にしてはかなりの悪ガキだった
夜家に警察が来て僕を捕まえに来るんじゃないかと想像して怯えたりもしていた
そしてついにそれらの悪事が母親にバレる時が来た
怒られる時はいつもベルトで叩かれていた
ベルトを外すカチャカチャという音を聞いた時の恐怖は微かに今でも覚えている
あの頃の母親は恐怖でしかなかった
その母親が僕も抱きしめ初めて泣いた
人を悲しませる事への罪悪感が深く胸に突き刺さった
驚きと戸惑いで抱き締め返す事はしなかったけど
母親の涙につられて僕も泣いた
ごめんなさい
と泣きじゃくった
僕はこの時初めて人を悲しませることの罪の重さを知った
鳴海
鳴海の写メ日記
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幼い頃の母の涙鳴海